怖い薬の飲み合わせ

命に関わることも…心臓病を治療中の人はED治療薬が危ない

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 EDとは、性行為のときに勃起不全に陥る症状を指します。若いときは元気だったのに、中高年になるとEDに悩まされることも少なくありません。

 EDの治療薬としては、「バイアグラ」(一般名:シルデナフィル)や「シアリス」(一般名:タダラフィル)が知られています。ただ、これらED治療薬には飲み合わせに注意すべき薬があります。狭心症の薬として多用される「ニトログリセリン製剤」です。

 ニトログリセリンは血管を拡張させることにより、狭心症の症状を改善させます。そして、ED治療薬も同様に血管を拡張させることによって作用します。ED治療薬は心臓の血管ではなく、陰茎の血管を主に拡張させるのですが、両者とも血管拡張作用によって効果を得ることは同じです。そのため、両者を併用するとニトログリセリンの作用が増強され、命に関わるほどの副作用が起きてしまいます。

 もともと、バイアグラは狭心症の治療薬として開発された薬です。しかし、臨床試験が行われた際は狭心症の治療効果は薄いものでした。しかし、その副次効果として勃起改善作用が見られたことで、ED治療薬として応用されたのです。

 このような経緯からも分かる通り、ED治療薬と狭心症の薬(ニトログリセリン製剤)を併用すると、薬の作用が強くなりすぎてしまうのです。また、ED治療薬は、不整脈の薬である「アンカロン」(一般名:アミオダロン)との併用も禁忌です。これは、併用によって不整脈を悪化させる恐れがあるからです。こうした危険性がいくつもあるため、ED治療薬を服用する際は必ず専門家と相談する必要があります。

深井良祐

深井良祐

86年岡山県生まれ。岡山大学薬学部大学院在学時に薬学系サイト「役に立つ薬の情報~専門薬学」(http://kusuri-jouhou.com/)を開設。医薬品卸売企業の管理薬剤師を経て独立し、現在は医療系コンサルタントとしても活動。株式会社ファレッジ代表取締役。