独白 愉快な“病人”たち

演歌歌手・松原のぶえさん(54) 腎臓病(腎移植)

松原のぶえさん(C)日刊ゲンダイ

 腎移植を受ける際は、適合検査のために手術の前から1週間入院しました。血液型が私はO型、弟はB型なので、B型の腎臓を受け入れられるように抗体を作る必要があったんです。そんな過程を経ていざ手術となっても、健康な弟の体にメスを入れてもいいものかと、弟が手術室に運ばれていくまでためらいましたね。

 手術は8時間。弟の腎臓と私の管をつなぐと尿が出て成功……と思ったら、そこからが問題でした。術後3日間、尿が出ず、皮膚が破れて水が出るんじゃないか、っていうくらいパンパンにむくんでしまって……。

 医師が来るたびに「おかしい」とつぶやいているのが聞こえる。手術は失敗したのかも……と思っていた時、主治医の先生が他の医師の制止を振り切り、点滴の管を全部抜いたんです。すると、数時間後に尿意が戻った。荒療治に見えた施術がきっかけで回復に向かったのです。あのときは、尿意があることのありがたさに気づきました。

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