脳を育てれば健康になれる

「分かったつもり」を解消する“事前テスト”の効能

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 この幻想から逃れるためには「覚えているかどうかをテストする」のが大事という。本の一節を暗記したいなら、ただ本を30回読むより、本を見ないで自分でテストしてみて、分からなくなったら本を開けて読む方式を15回程度行うことだ。

 つまり、事前テストで理解していないことを解答しようとしてあれこれ推測することで、より問題について注意深く考えるようになる。そのことによって、次に思い出す時、「流暢性の幻想」が排除されるのだ。

 しかも、事前テストをやることで、これから勉強する事柄の何が大事なのか、その勘所をあらかじめ知ることができる。それだけ勉強の内容が深まるともいわれている。

 ところで吉田院長は、この「事前テスト」が効果を挙げるのは、科目や中身にもよるという。

「たとえば、4月に中学1年生になる小学生が先取りとして、まったくやったことがない2次方程式を事前テストしても、単にできないだけで理解を深める効果は出ません。しかし、歴史や地理、化学など小学生で一度、何らかの形で学んだものから推測がつけられる内容なら、実際に成績アップに役立っています」

 推理し、それを答えることで知識が脳の中に確実に定着していくというわけだ。

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