薬に頼らないこころの健康法Q&A

進学校卒業もひとり就職…田舎に残る高校3年生の悩み

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

 その際は高校時代に習得した勉強スキルが役に立ちます。Q高の勉強も仕事の勉強もすることは同じで、基本は予習・復習。つまり、今日の業務内容を振り返って記録をつけ、明日の仕事をチェックして必要な準備をすること。そのためには、毎日ノートをつけましょう。それも、高校時代と違って、パソコンを使ってください。理由は、あとからの検索が楽だからです。新人時代に作ったノートは、職業人としての宝物になります。

 また、いずれご両親が引退し、農家の仕事を継がなければならない日が来ます。その時のための準備もしましょう。農業技術や経営の方法について勉強するのです。各地で若い後継者たちが新しい工夫を試みているはずです。そういった事例のなかに、旧P村でも実現可能なことがあるでしょう。

 長期的にみて、君には病院の仕事と、実家の農業だけでは足りない。旧P村、あるいは、Q市全体の地域振興、さらには日本の農業の復興といった大きな視点をもってほしいと思います。それは都会の大学に行く以上に夢があって、人生を懸けるに値する仕事だと私は思います。

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井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。