医者も知らない医学の新常識

お腹が鳴る原因は? 周りに聞こえる音は“病気のサイン”かも

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「お腹が鳴る音が大きくて恥ずかしい」――。そんな話を、よく外来で耳にすることがあります。

 確かに周りに聞こえるほど、お腹から「グーッ」と音がすることはあります。それが頻繁だと、その本人にとってはかなり深刻な問題と感じられるようです。

 しかし、そもそもお腹はどうして鳴るのでしょうか? 健康でもお腹が鳴るのは、お腹がすいた時です。空腹時に、胃から小腸にかけての筋肉が収縮することで音が鳴ります。これを専門用語で「消化管間欠伝播性収縮」と呼んでいます。

 なぜこうしたことが起こるのかは、完全には解明されていませんが、食事の前に胃腸をきれいにする、一種のお掃除の作用だと考えられています。

 また、消化が悪かったり、胃の働きが悪かったりすると胃にガスがたまり、それを押し出そうとして、胃腸が強く収縮します。これもお腹が大きく鳴る原因になります。要するに、「胃腸が収縮する時」にお腹が鳴るのですが、その音が大きいのは胃腸の働きが悪く、より多くのガスがたまっているからなのです。

 ストレスは胃腸の働きを悪くするので、悩み事があってもお腹が大きく鳴ることがあります。お腹の鳴る原因の多くは、重症な病気によるものではありません。しかし、吸収不良の病気をもっていたり、特定の栄養素が吸収できないような体質が隠れていることもあるので、一度はお医者さんに相談することが必要です。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。