病院は本日も大騒ぎ

患者と看護婦の距離感 「親しさ」と「なれなれしさ」は別物

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 こんにちは! 町のクリニックから関東圏の総合病院に移り、看護師歴20年になる看護師長のマサコです。

 入院患者さんから見て頼りがいがあり、信用も厚い看護師とはどのようなタイプでしょうか?

 ベテラン看護師は、経験が浅い若い看護師と定期的なミーティングをして、さまざまなノウハウを教えるほか、若手がミスをすればそのつど指導して一人前の看護師に育てます。

 まずは、会話。「失礼」は「申し訳ありません」、「すみません」は「ありがとうございます」、「診る」は「拝見いたします」など、敬語を使うことを徹底させます。

 また、入院患者さんは病気を抱えた弱者です。接するときは「優しさ」を心がけ、常に明るく笑顔を絶やさないことを看護師の基本にしています。

 ただ、2カ月、3カ月という長期入院患者さんになると、担当看護師の付き合いもそれだけ長くなります。それで親密さとなれなれしさをはき違える若手看護師が出てきます。たとえばときどきタメ口をきいてみたり、医療と無関係な世間話もするようになるのです。

 看護師との会話を趣味にしている患者さんもいらっしゃいますが、私は「入院患者さんと必要以上の会話はやめなさい」と指導しています。

 治療に会話も必要な心療内科などは別ですが、患者さんと接するときは、常に節度を忘れないことが、結果的には看護師の信用につながります。

 かつて、男性入院患者のあしらいがとくに上手で、すぐ親しくなる看護師がいました。

 ある日、男性患者が救急車で搬送されてきたのですが、健康保険証も現金も持っていませんでした。

 その患者は3日ほど入院し、完治すると入院費も払うことなく姿を消しました。しかも、病院に届け出ていた自宅の住所や電話番号もデタラメだったのです。

 その患者と親密な会話をしていた看護師は、看護師総師長に呼ばれ、「あなた、本当の電話番号を知っているでしょう?」と、疑いの目を向けられました。看護師はムカッとしていましたが、むろんその看護師が教えてもらっていた電話番号もウソ。「親しげ」と「信頼されている」とは大きな差があるのです。