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3人の親を持つ赤ちゃん誕生? 難病治療めぐり米国で物議

 難病治癒か、デザイナーベビーへの第一歩か?

 体外受精によるミトコンドリア病の予防治療はOKか否かが、論争を呼んでいます。

 ミトコンドリア病は、文字どおり細胞の中のミトコンドリアが異常を来すことで、筋肉の硬化や臓器の機能低下などを引き起こす難病。そのほとんどが母親の卵細胞から遺伝的に受け継がれるとされています。

 そこで、生まれてくる赤ちゃんの“卵”の段階での「予防」が提唱されています。ところがこの方法の「大きな問題」は、3人目の親、つまり母親以外の女性の卵子が必要なこと。ミトコンドリアに異常がある母親の卵子から核を取り出し、正常な卵子核と入れ替える必要があるからです。

“3人の親”がいる子供が生まれてくることは倫理的にいかがなものか。さらに、遺伝子操作によるデザイナーベビーへの第一歩になるのではないかという根強い抵抗が、実現を阻んできました。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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