独白 愉快な“病人”たち

女優・シャンソン歌手・画家 藤田三保子さん(62) 膠原病

藤田美保子さん(C)日刊ゲンダイ

 そのため、しばらくは家事にいそしんでいたんですが、1年半後に勝手に薬をやめてしまった。そうしたら、2~3カ月で膝に激痛が走るようになって、29歳のとき再び2カ月半の入院を余儀なくされました。当時、小学生だった子供たちに“これ以上寂しい思いをさせてはいけない”と改心し、医師の言いつけをきちんと守ろうと心に固く誓いました。

 ところが、「薬を飲んでいる間は妊娠しちゃいけない」と言われていたのに、妊娠してしまったんです。34歳でした。

 医師から「身体障害児が生まれる確率が通常の25倍」と言われ、人生で一番悩みました。毎日決意が変わり、どうしたらいいのかわからない。そんなとき、救ってくれたのが担当してくれた妊娠腎の先生でした。同じ種類の病気で出産経験もある先生は、悩む私に力強く「藤田さん、産んでから考えなさい」と言葉をかけてくれたんです。そう言われて“母親の強さってこれなんだ!”と思いましたね。それまで、どうにも整理できなかったことが、ストンと腑に落ちて産む決意が固まり、無事に女の子を出産することができました。

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