脳を育てれば健康になれる

<第9回>楽観的になることが健康長寿につながる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 これまで「科学的な勉強法」を通じ、脳の効率的な動かし方について考えてきた。今回は「楽観的な脳」と「悲観的な脳」の記憶システムの違いが健康に何をもたらすかを考えてみよう。

「人は見たいものしか見ない、聞きたいことしか聞かない」とはよくいわれることだ。同じように人は「記憶したいことしか記憶しない」といえるかもしれない。
“人はどんなことに注意を向けるのか”を調べる研究としてよく使われる方法がある。被験者に「楽しそうな写真」と「怖い写真」を同時に見せて、そのどちらがより被験者の注意を引かせたかを調べるものだ。

 この実験で分かることは被験者の気質によって記憶されやすいものに違いがあるということ。明るい性格の人は楽しいことに注意が向いて記憶されやすいが、性格の暗い人は悲しいこと、悲惨なものに引かれ、記憶しやすいというわけだ。

 しかも、明るい記憶は人を楽しくさせ、悲惨な記憶は暗くする。つまり、物の見方と記憶とは切っても切れない関係にある。

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