当事者たちが明かす「医療のウラ側」

街から薬局が消え、パート薬剤師の失業が増える!?

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
「かかりつけ薬剤師指導料」の新設

 先週、中央社会保険医療協議会が診療報酬改定案を厚労大臣に答申しました。目玉のひとつは、「かかりつけ薬剤師指導料」(70点=700円)の新設です。これがパート薬剤師の賃金カット、クビ切りにつながるのではないかと、ビクビクしています。

「かかりつけ薬剤師」とは、医師と連携して患者の薬の管理を一元的に把握して、服薬指導などを行う薬剤師のことをいいます。

 これまで患者さんは行った先の病院の「門前薬局」で薬をもらっているため、どの薬をどのくらいもらっているかを管理している薬剤師がいませんでした。今回の「かかりつけ薬剤師指導料」新設で患者さんの薬の重複や飲み残しなどを防ぎ、医療費全体の効率化を進めようというわけです。

 では、「かかりつけ薬剤師」になるためにはどのような条件が必要なのでしょうか? 詳しくは改めて発表されるでしょうが、薬剤師として一定以上のキャリアがあって、同じ薬局に一定時間以上勤務し、その薬局に一定以上在籍することが必要とされるといわれています。

「かかりつけ薬剤師」にはOTC薬やサプリメント、新薬など幅広い知識と情報も求められることになります。

 そのため薬剤師認定制度認証機構の研修受講なども必須となるはずです。

 むろん、「かかりつけ薬剤師」のいる薬局はそれにふさわしい環境を整えておかなければなりません。すなわち、その患者さんが必要とするすべての薬をそろえる必要があります。また、24時間患者に対応できるよう、「かかりつけ薬剤師」が対応できないときにサポートしてくれる別の薬剤師が不可欠となります。

 こう考えると、新設される「かかりつけ薬剤師指導料」を得るには、パート薬剤師が多い個人経営の街の調剤薬局にはかなりハードルが高くなるということです。

 ならば、「かかりつけ薬剤師」など持たなくてもいいや、という薬局も出てきそうですが、そうもいきません。今回の診療報酬改定では、全体の処方箋受け付けが4万枚を超える大型調剤薬局グループで、特定の病院からの処方箋枚数が95%を超えた「門前薬局」などには、これまでより低い「調剤基本料」が設定されることになります。いずれ、このルールは小さな薬局にも適用されるでしょう。

 現在、全国には5万7000もの薬局がありますが、その7割近くは「門前薬局」。今後はその数が減ることは確実です。