天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

予防のため血縁に心臓疾患がいるかを確認

順天堂大医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 さらに次のステップとしては、その対処法で副作用をはじめとした有害事象が起こっていないかどうかをチェックします。たとえば、降圧剤を飲む場合、副作用が出ないかどうかをしっかり確認することが大切です。仮に少しでも副作用があれば薬の種類を替えなければいけません。逆に副作用がないようならその方法を続けます。こうした対策を講じておけば、何もしないで徐々に病気が経過していく人よりも、はるかに病気の進行を防ぐことができます。

 もちろん、検査や投薬を受けるには、それなりの費用がかかります。しかし、心臓疾患は早い段階で対処すればするだけ負担を減らせる病気といえます。高齢になって心臓疾患が発覚し、入院して大がかりな治療を受けなければならない状況になってしまえば、金銭的な負担もはるかに増えてしまうのです。

 一般的な人間ドックを日帰りで受ける費用は7万~10万円程度です。週1回、会社帰りに居酒屋で一杯やって3000円使っている人は、1年間で15万円弱になりますから、週1回の居酒屋通いを1年間だけ回数を半分にガマンすれば、検査費用は賄えます。病気になってしまえば、治療費が数十万円になるケースもあります。自分が高齢になったとき、病気にならないように投資しておくのは、賢い選択といえるでしょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。