医療の進歩は「日進月歩」といわれるが、今は「医療革命」といえるほど早くなっている。その中心のひとつが「ゲノム解析」だ。
ゲノムは「遺伝子」と「染色体」を合わせた造語で、DNAのすべての遺伝子情報を指す。これをコンピューターで解析することで、これまでの不特定多数に向けた治療ではなく、患者個人の体質や病気に合わせた治療が可能になるといわれている。長浜バイオ大学の永田宏教授(医療情報学)が言う。
「いまでも、自分の唾液などの粘膜を解析機関に送るとDNA分析は可能ですが、必ずしも精度が高いとは言い難い。今後、大量高速に解析する方法が実現できれば、病気になりやすい遺伝子の有無がわかり、将来どの病気にかかりやすいか予測できるようになるでしょう。そうなれば、発症前の状態で対策が取れるようになります」
実はこの「ゲノム解析に基づく治療」はすでに始まっている。代表は乳がんや卵巣がんの事前切除だ。この2つのがんは「BRCA1」「BRCA2」と呼ばれる遺伝子の変異が発症に関係していることがわかっている。
どうなる! 日本の医療