健康は住まいがつくる

高層階に住む程生存率が低下する可能性

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 高断熱住宅に住むと、心・脳血管障害などの有病率が減る――。そんな調査データをこれまでいくつか取り上げてきた。都市部では、その利便性や投資のためマンションの高層階に住む高齢者も少なくない。その場合、生活習慣病などで心・脳血管障害のリスクを持つ人は、住む階層によって健康影響はないのか。

 先月、カナダの病院の医師らが「マンションの居住階別の心停止後生存率に差があった」という研究結果を医学誌「CMAJ」(オンライン版)に報告している。研究の背景には、近年、カナダの都市部では高齢者の高層階入居率が上昇していて、高層階に住む人の40%以上が65歳以上の高齢者ともいわれる状況がある。

 医師らが解析したのは、トロント市内の病院外での心肺停止例(2007年1月~12年12月)7842件のデータ。高層階と低層階で、心停止後の生存退院率の違いなどを調べている。

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