薬に頼らないこころの健康法Q&A

理系科目に興味が持てない… 医学部志望を変更すべきか

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

 ただ、ご心配なく。医師の世界には“文学者”もいれば“哲学者”もいるのです。君が高校で習った人物に限っても、森鴎外、斎藤茂吉、木下杢太郎などの近代文学史上の大立者がいます。現代作家でも加賀乙彦、北杜夫、帚木蓬生などは医師ですし、木村敏のように哲学者以上に哲学的な医師もいます。

 人間についての広範な関心があって、それで文学や哲学に興味があるのなら、医師を続けながら文学的、哲学的な関心を深めていく道もあります。実際、医師になれば、自分の考えを活字にするチャンスは訪れます。そういうときに高校時代の哲学や文学の志を存分に遂げることもできると思います。

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井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。