医者も知らない医学の新常識

オトコの救世主 毛生え薬で「デブになる」は本当か?

髪は生えても…
髪は生えても…(C)日刊ゲンダイ

 脱毛は命に関わる病気ではありません。しかし、容姿に関わることなので、気にされる男性にとっては非常に深刻な問題に感じられるものです。

 最近、「脱毛のメカニズムがコラーゲンにあるのでは」という発見がありました。それが事実としても、有効な治療薬の開発までにはまだまだ時間がかかりそうです。

 現時点で抜け毛の治療薬として最も有効性があるのは、「フィナステリド」という男性ホルモンの代謝酵素の阻害剤です。より強力な作用のある「デュタステリド」という薬も、昨年処方薬として使えるようになりました。「フィナステリド」は「プロペシア」という商品名の方がお馴染みかもしれません。

 このタイプの薬は、男性ホルモンのテストステロンが、より強力な作用を持つ「ジヒドロテストステロン」に変換されるのを防ぐ作用を持っています。最近、実はこの反応を変換する酵素は肝臓や脂肪の細胞にも存在していて、内臓脂肪を分解するのに重要な役目を果たしていることが明らかになりました。健康な人にこうした作用の薬を飲んでもらうと、内臓脂肪がたまってメタボが進行することが報告されたのです。特にその作用は、「デュタステリド」で強いと考えられています。

 抜け毛の薬を使う時には、内臓脂肪がたまらないように注意をすることが必要かもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。