健康保険の中に、こうした仕組みが組み込まれているため、がんの医療費は意外なほど少なく抑えられているのです。
これまで「民間のがん保険は不要である」とする意見の最大のよりどころが、この制度でした。がん治療に要する医療費が、100万円程度とするならば、貯蓄で十分賄えるはず。わざわざ高い保険料を払う必要はない、というわけです。
■がん医療費の高騰が限度額引き上げに影響
しかし、近年の高齢化に伴う国民医療費の膨張によって、保険制度そのものが存続の危機にさらされつつあります。実は2014年12月以前は、限度額がもっと低かったため、患者負担は今よりも軽かったのです。それが、15年1月から現在の額に改定されました。冒頭に述べたがんの医療費の平均額は、それ以前の研究によるものです。いま調査を行えば、おそらく5%ほど金額が増えているはずです。
がん保険 本当に必要ですか