怖い薬の飲み合わせ

高血圧の人は薄毛治療薬をむやみに飲んではいけない

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 中高年になると、薄毛に悩む人も多くなります。薄毛治療は完全自費による治療で、さまざまな治療薬が存在します。こうした薄毛治療薬にも、飲み合わせの問題があります。

 薄毛治療薬の有名な成分に「ミノキシジル」があります。皮膚につけるミノキシジル製剤として、「リアップ」という商品を聞いたことがある人も多いでしょう。一部の専門医療機関によっては、ミノキシジルの錠剤(ミノキシジルタブレット)を処方することもあります。

 ただ、ミノキシジルはもともと高血圧の治療薬として開発されたものです。そのため、錠剤タイプのミノキシジルと高血圧治療薬を併用すると、成分が過剰になってしまいます。動悸や血圧が下がりすぎる副作用によって命に関わる場合もあるため、注意が必要です。

 他に薄毛治療薬として多用される薬としては、「プロペシア」(一般名:フィナステリド)や「ザガーロ」(一般名:デュタステリド)が知られています。この2つの薬は、実はほとんどのケースで飲み合わせの問題が確認されていません。

 ただ、まったく飲み合わせを考慮しなくてもいいかというと、必ずしもそうではありません。たとえば、HIV治療薬の「リトナビル」、抗生物質として知られる「クラリスロマイシン」や「エリスロマイシン」などと併用すると、血液中の薬物濃度の上昇を招き、効果の増強などの副作用が強く表れる危険性があります。

 ちなみに、プロペシアやザガーロは女性にまったく効果がなく、それどころか妊娠している女性は薬に触れることすら禁止されています。胎児に多大な影響を与える危険性があるからです。

 いずれにしても、薄毛治療薬を服用する際は、必ず専門家の指示を仰いでください。

深井良祐

深井良祐

86年岡山県生まれ。岡山大学薬学部大学院在学時に薬学系サイト「役に立つ薬の情報~専門薬学」(http://kusuri-jouhou.com/)を開設。医薬品卸売企業の管理薬剤師を経て独立し、現在は医療系コンサルタントとしても活動。株式会社ファレッジ代表取締役。