ブラマヨ小杉も発症? “肥満の空咳”はこんなに危ない

以前はこんなに痩せていたのに…
以前はこんなに痩せていたのに…(C)日刊ゲンダイ

 突然、変な咳が出て止まらなくなった――。ぽっちゃり体形の中高年の中にはそんな経験をした人がいるのではないか。厄介なことにこの咳、会議や挨拶など大事な場面に限って始まってしまう。本人はもちろんのこと、周囲も「何か悪い病気で、うつるのではないか」と不安になる。大丈夫なのか?

 最近、咳が止まらずハラハラさせた人物といえば、お笑いコンビ「ブラックマヨネーズ」の小杉竜一(42)だろう。

 今月11日放映のテレビ朝日系列の人気バラエティー番組「アメトーーク!」に出演。「ついついダラしなくなっちゃう芸人」として、お菓子を手放せず近距離でもタクシーを使う怠惰な私生活を披露して笑いを取った。ところが、途中で咳が止まらなくなり、番組終了後にネット上で「咳がヤバい」「悪い病気ではないか」との書き込みが相次いだのだ。弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長が言う。

「空気の通り道である気管に食べかすなどが詰まっても空咳は出ます。小杉さんの咳の原因が何かはハッキリわかりませんが、肥満の人は咳が出やすいことが知られています。肥満でお腹が突き出ることで、脂肪が肺を圧迫して、気道が狭くなるからです」

 実は小杉は最近、「激太りした」と評判だ。所属の吉本興業が公表しているプロフィルでは小杉の身長・体重は170センチ、80キロ。ところが、画面で見る限りは優に100キロは超えている。テレビ番組のダイエット企画に登場してはリバウンドを繰り返したこともあり、いまの体重は120キロ以上ともっぱらだ。

■大人の喘息、逆流性食道炎の可能性も

 肥満の止まらない空咳は、そのまま喘息につながることはないのか。水谷内科呼吸器科クリニック(東京・大泉学園)の水谷清二院長が言う。

「可能性はあります。喘息は、慢性的な気道の炎症と狭窄が引き起こします。子供はチリや家ダニなどによるアレルギーの喘息が多いのですが、大人は気道に風邪などのウイルスが感染し、それに過労やストレスが加わって発症することが多い。肥満も原因のひとつなのです」

 実際、BMIが30を超えると、喘息の発症率は2倍になるという研究結果も報告されている。

「そのメカニズムはハッキリしませんが、肥満細胞から出るレプチンという物質がさまざまな炎症のもととなる“好酸球”の働きを活発化させ、抗喘息薬の効果も低下するなどとも言われています」(水谷院長)

 喘息というと子供の病気というイメージを持つ人がいるが間違いだ。ある研究では、20歳前に喘息になった人は全体の20%、20~40歳が30%、残りが40歳以上だったという。

「大人の喘息は治療が長引くことがあり厄介です。ただし、喘息はそう簡単にかかる病気ではありません。2~3週間程度の咳なら咳喘息であり、8週間以上続く咳で、X線検査などでがんをはじめとした病気が否定されて初めて喘息と診断されます」(水谷院長)

 太った人の長引く空咳は、胃液が逆流して喉頭部まで達する逆流性食道炎であるケースも多い。

「胸焼けや酸っぱいものが込み上げてくる『呑酸』といった症状や、過食や食後横になったときに咳がでるようなら、むしろ、逆流性食道炎を疑うべきです」(北品川藤クリニックの石原藤樹院長)

 慢性的な咳は結核、食道がん、喉頭がんなどが隠れていることもある。気になる人は早めに病院で診てもらうことだ。

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