がん保険 本当に必要ですか

<4>「がん離職」への備え

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 がん保険でも、年金(収入保障金)を支給する商品が出てきています。年額120万円(月額10万円、1日当たり約3300円)を最長5年間支払う、というような内容です。傷病手当金よりも保障期間が長いので、長期の闘病生活を強いられる患者にとって、助けになるでしょう。

 ただし、がん離職のリスクが最も高い30代以下の非正規の人たちが加入するべきか、判断は難しいところです。もともと少ない収入から、月々の保険料を捻出するのは容易なことではありません。若いうちはがんになる確率が低いので、保険には入らないというのも有力な選択肢のひとつです。

 ちなみに40代までは、女性のほうが男性よりもがんになりやすい傾向にあります。乳がん・子宮がんが多いためです。これらのがんには抗がん剤が比較的よく効くため、長期療養を続けられる人も少なくありません。乳がんの年間罹患率は、30代で1000人当たり0・5人程度、40代では1~2人程度となっています。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。