どうなる! 日本の医療

患者本位になれば 日本には「コンビニクリニック」が必要だ

駅ビルにクリニックがあると便利(C)日刊ゲンダイ

■求められているのはありふれた病気治療

 クリニック開院のきっかけは、あるアルバイト学生との会話だったという。

「“本当は体調が悪くて医者に診てもらいたいのだけれど、その暇がない”というのです。そこで、治療を受ける時間が取りづらい人たちのために新宿駅西口近くの雑居ビルで実験的に夜9時まで診療を行ったところ、相当数の患者需要があるということが分かりました。そのとき、多角化を進めるJR東日本さんからお声がかかって、今の形になったのです」

 同院は内科と小児科がメーンで、営業時間は朝9時から昼間の休診時間を除いて夜9時まで。電話やネットでの予約が必要だ。それでも、冬のインフルエンザ期間中は3医療機関で1日1000人からの患者が押しかけるという。そのピーク時は午後6~8時前後だ。

「それだけ困っている人が多いということです。その意味では日本の医療機関は患者本位でなく、医療機関に働く人本位で運営され過ぎているのではないでしょうか。昔と違って、サラリーマンの働き方はさまざま違ってきているのに、診察時間はほとんど変わっていません。しかも、患者さんの9割がごくありふれた病気なのに、病院は専門医が多くて難しい病気ばかりを診たがります。これでは、医療難民が増えるのは当たり前です」

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。