医者も知らない医学の新常識

米国で激減している「認知症」

 認知症は日本のような超高齢化社会にとっては、非常に深刻な大問題です。「早く死んでもいいから、認知症になって家族に迷惑をかけるのだけは嫌だ」という切実な声を毎日の診療で患者さんから聞きます。こうしたことから、当たり前のように「認知症は増えている病気」と考えている方が多いのではないでしょうか?

 ところが、実際にはそうではないということを示すデータが、特にアメリカで多く報告されています。

 ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンという超一流の医学誌で2月に発表された論文によると、1970年代後半の年齢別の認知症の発症率と比較して、2000年代後半の認知症の発症率は同じ年齢では44%も低下していました。つまり、この30年で認知症は半分くらいに減っているのです。

 認知症の診断法は日々進歩しています。一般の人も認知症の初期の症状には敏感になっていますから、より多くの認知症が見つかるようになっても不思議はありません。それではなぜ減っているのでしょうか?

 その原因は今のところ不明ですが、何らかの生活環境などの変化が、認知症の減少につながっていると考えられます。この原因が解明されれば、皆さんは認知症をそう怖がらなくてもよくなるかもしれません。

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。