病院は本日も大騒ぎ

年収500万円「正看護師」の苦労

(C)日刊ゲンダイ

 真夜中のナースコールにも神経が高ぶります。10年ほど前にこんなことがありました。「入院患者に何か不吉なことでも起こったのか」と病室に走ったところ、「眠れないから睡眠薬をくれ」と、要求されたのです。

 ご高齢の患者さんだったのですが、毎晩のように睡眠薬を要求するのです。恐らくは「薬を飲まないと眠れない」と錯覚していたのだと思います。

 しかし、薬は無料ではありませんし、それに睡眠薬の常用はお勧めできません。それで一計を立てました。

 いつも飲ませていた睡眠薬の錠剤と形や色も似ていて、飲んでも無害というビタミン剤を持っていき、「はい、いつもの睡眠薬ですよ」と、説明して飲ませたのです。

 もちろん、事前に担当医に相談して了解はとっておりましたが、その翌朝、「いやあ、よく眠れたよ」とその患者さんはご機嫌でした。

 以来、その患者さんからナースコールがあるたびに、偽の睡眠薬を飲ませ、トラブルを回避しました。

 こうした工夫も仕事のひとつなのです。

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