有名病院 この診療科のイチ押し治療

【がんの放射線治療】JCHO東京新宿メディカルセンター放射線治療科(東京都新宿区)

最新式のトモセラピー機器
最新式のトモセラピー機器(C)日刊ゲンダイ
最新式のトモセラピー機器を導入 3つの武器でがんを撃つ

 がんの3大療法の一つである放射線治療。いまは「IMRT」(強度変調放射線治療)という照射方法が普及している。

 周囲の正常組織への照射を減らし、がんに強い放射線を照射できることから、より高い治療効果が得られることが知られている。同科は、そのIMRTの専用機である「トモセラピー」をこの春から導入し、高精度の放射線治療を提供する。同科の黒﨑弘正部長はこう言う。

「IMRTは、従来の放射線治療機(ライナック)でも行ってきましたが、トモセラピーはCTと一体化して回転照射できるので、より精度の高いピンポイント照射ができます。特に直腸と隣接する前立腺がんや、できるだけ脳や目の照射を避けたい頭頚部がんなどでは威力を発揮します」

 トモセラピーを導入する医療機関は東京都内では4施設目になるが、同科が設置するのは最新型タイプ。回転照射に加え、角度を固定したまま照射できるダイレクト機能を搭載しているのが特徴だ。体の深部にある複雑ながんには「回転モード」、シンプルながんには「ダイレクトモード」と使い分けができるので、がんの部位や種類に応じた幅の広い治療が可能になる。

■従来機ライナックも「素早い対応」と「苦痛軽減」で必要

 そうなると、従来機のライナックは不要と思えるが、そうではないと言う。

「トモセラピーでは綿密な治療計画が必要になるので、治療開始まで通常1週間くらいかかります。それに比べてライナックは2日もあれば開始できるので、素早い対応ができるのです。照射時間もトモセラピーに比べて短いため、痛がっている患者さんでも苦痛が少なく照射できます」

 IMRTの普及で放射線治療の副作用がかなり軽減され、いまでは仕事を続けながら外来で放射線治療を受けている患者が増えている。しかし、一方で体調がすぐれず外来で治療を受けるのがきつい患者もいる。そんな場合でも、同科は放射線科として病床(2床)を持っているので安心して治療が受けられる。

「放射線内用療法を行っているのも当科の特色です。特に骨転移によるがん性疼痛を緩和するためのストロンチウム治療は、都内では最も多い治療実績があります。1回の注射で、全身の骨転移による痛みを緩和することができます」

 放射線内用治療法とは、ラジオアイソトープ(放射性同位元素)を用いて、注射したりカプセルを飲んで行う治療法だ。骨転移に対するストロンチウム治療の他に、リンパ腫に対するイットリウム治療、甲状腺機能亢進症に対するヨード治療の3つを行っている。

「当科は、トモセラピー、ライナック、放射線内用療法を3本柱に、この春から高精度放射線治療センターとして機能します。精度の高い幅広い放射線治療を提供していきたいと思います」

 病院立地もJR、地下鉄の5路線がある「飯田橋駅」近く(徒歩2~5分)なので、交通アクセスが抜群にいい。働きながら治療を受けるなら強い味方になる診療科だ。