近年、グーグルでもツイッターでも、そして医療保険大手のエトナや巨大ディスカウントデパートチェーンのターゲットでも社内でやっていることがあります。それは、「マインドフルネス」のエクササイズです。
「マインドフルネス」とは、自分や自分の周囲に注意を向け、それに集中し、たった今起こっている現実をあるがままに受け入れるエクササイズです。そのルーツは70年代にマサチューセッツ工科大学の学者が仏教の瞑想をもとに考案したもので、メディテーション(瞑想)を基本に、時にはヨガを取り入れることもあります。これまで、主にストレスや不安の解消に活用されてきました。
一方、シリコンバレーを中心としたIT企業では、増える一方の膨大な仕事量をどうやってさばき、社員の心身の健康を保つかが課題になっていました。そこでこれらの企業が注目したのが、仕事の効率を上げるためのシステムやアプリではなく「マインドフルネス」だったのです。
マインドフルネス専用の部屋をつくり、インストラクターを雇って社員にメディテーションやヨガなどを教えているグーグルの担当者は、「マインドフルネスによるストレス解消はもちろん、集中力が高まって仕事の効率が上がったり、心をクリアにすることでクリエーティビティーが高まることも期待できる」とコメントしています。
また、ツイッターでは管理職のトレーニングにマインドフルネスを活用。リーダーにとっては、たった今起こっていることに注意を向け、相手の話をよく聞くことなどが重要だからです。
社員にも非常に好評で、優秀な人材を確保するための特典のひとつとしても注目されています。常にマルチタスクを求められ、情報の海で溺れそうな現代だからこそのトレンドと言えそうです。
▽シェリーめぐみ ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター。横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。
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