独白 愉快な“病人”たち

NTT Comラグビー部コーチ 栗原徹さん(37)喘息

「喘息が理由でラグビーをやめようと思ったことはない」と語る(C)日刊ゲンダイ

■練習前には肺を“ラグビー仕様”に

 それでも、喘息が理由でラグビーをやめようと思ったことは一度もありません。実際、苦しくなるときはありますし、足は速くても持続力がないという欠点はあります。でも、少し時間をかければみんなと同じ練習量はこなせます。感覚的にいうと、普通に生活しているときの肺とラグビーをやるときの肺の大きさが違うんです。ウオーミングアップの時間を人より多めに取って徐々に肺をラグビー仕様にする感じですかね。

 発作もじわじわくるので、起きるときは“あ、そろそろだな”とわかるんですよ。その時点でサルタノールを吸入すれば大事には至りません。苦しくなりかけたら四つん這いになるとか、息を細く長く吐くことで肺に圧をかけるなど、呼吸が楽になる方法を誰に言われたわけでもなく編み出しました。

 なにより自分にとってよかったのは、ときどき休まなければならなかったことで、効率のいいプレーを考えて工夫するくせが自然に身についたことです。たとえば、現役時代のフルバックというポジションは非常にたくさんの距離を走るのですが、自分はなるべく無駄のないコース取りをすることでカバーしました。

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