思えば、サッカー少年の頃からそうでした。華麗なシュートを決める人よりも、それに至る手前のなんでもないパスに魅力を感じるタイプで、ラグビーでも休んでいる間にチームの動きを考えることが多いんです。復帰後にはアイデアがあふれて仕方ないくらい。「喘息の人は思考が深くなる」――。そんなふうに言われたこともありますが、もしかすると体力以外のところでチームに貢献する方法を探してきたことが、現役引退後もコーチとして声をかけてもらえた一因かもしれません。
喘息があってもスポーツはできます。プロであれアマチュアであれ、必要なのは自分をよくわかっていてくれる医師と周囲の理解・協力です。だから、理解を求める努力を惜しまないでほしいですね。
▽くりはら・とおる 1978年茨城県生まれ。中学でラグビーを始め、慶応大学を経てサントリーサンゴリアスでプレー。08年からNTTコミュニケーションズ・シャイニングアークスで活躍。2014年引退。翌年から同チームのスキルコーチに就任。3児の父。
独白 愉快な“病人”たち