医療数字のカラクリ

動物実験の結果を人間に当てはめてもいいのか?

動物実験の結果を安易に信用してはいけない

 自分の治療を決定するための情報は、自分によく似た患者で確認されます。ところが、案外そういう視点を意識せずに、自分とは似ても似つかぬ患者についてのデータを自分に当てはめようとしていることが多いのではないでしょうか。

 たとえば、ネズミの実験で「ある物質Aを投与してがんの発生が抑制された」との医療情報があったとしましょう。そんな情報を目にすると「物質Aを毎日取らなくちゃ」となるかもしれません。しかし、医療はそう簡単ではありません。自分はネズミではないわけで、ネズミでの効果がそのまま人間に当てはまるか否かは分からないのです。

「同じ哺乳類なのだから」というような考え方ができる半面、「ネズミと人では違いすぎる」というのももっともな考え方でしょう。

 ただ、ネズミの実験と人間の実験と両方の情報があるのなら、人間の実験のデータを利用したいということに異論がある人はいないでしょう。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。