当事者たちが明かす「医療のウラ側」

「検査依存型医療」をやめられない医者は地方で診療できない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 私はテレビをほとんど見ませんが、例外なのがNHKの「総合診療医 ドクターG」という番組です。

 3人の研修医が総合診療医と対決する病名推理エンターテインメントで、患者さんの立ち居振る舞いや、「体温」「脈拍」「血圧」などのバイタルデータと、触診・問診などから病名を当てるのです。実際の臨床を基に作られているだけあって、とても面白く、経験の少ない私などには勉強になります。

 実際、ある回では著名な総合診療医の先生が凄腕を見せつけました。病室に入ってくる患者さんの様子と会話との落差から患者さんの「作話」を見破り、その原因はあるビタミンの不足であって、それを引き起こしているのが降圧剤であることまで見破りました。

 一緒に番組を見ていた薬剤師の妻は感心しきりで、「あなたも、こんなふうに頭をフル回転して病名を推理しているの?」と聞いてきました。私は「医師なら当たり前だよ」なんて答えましたが、実際の私にはとてもそんな余裕などありません。

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