がん保険 本当に必要ですか

<7>医者は懐疑的だが…健康食品に出費する患者の心境

アガリクス
アガリクス(C)日刊ゲンダイ

 がん保険の最大の特徴は、「診断一時金」です。がんと診断されると、100万円を給付するといったものです。

 商品によっては、2年ごとに無制限に給付するものもあります。2年を経過してもがん治療が続いている場合、追加の一時金が給付されます。中には診断一時金の代わりに、生活保障金として月々10万円を給付するという保険もあります。どちらが得かは、払った保険料と、がん患者としての期間によって変わってきます。

 どちらもまとまった金額が入ってくる上に、使途は問われません。何に使うかは、本人の自由です。ただ、その何割かは、健康食品の購入費に充てられることになるでしょう。厚生労働省が2005年に行った調査によれば、患者の約45%が健康食品を利用していました。また、さまざまな調査により、多くの患者が毎月数千円から数万円を健康食品に費やしていることも分かっています。

■医学的根拠は希薄

 人気のトップは「アガリクス」です。キノコの一種で、免疫機能を活性化し、がんを縮小させる働きがあるとされています。次いで人気なのが「プロポリス」。ミツバチが作り出す抗菌物質の一種ですが、やはりがんの増殖を抑える作用があるとされています。他に「AHCC」と呼ばれるシイタケから抽出された物質や、「キトサン」(エビやカニの殻から抽出される物質)、サメ軟骨(フカヒレと同じ成分)などが、よく利用されています。もちろんビタミンやミネラルも定番になっています。

 がんの進行を遅らせるなど、直接的な治療効果を期待する人が利用者の7割近くに達しています。しかし、健康食品の抗がん効果に関する医学的根拠は、かなり希薄、ないし否定的です。気休めにしかならないという医者も大勢います。その意味では、せっかくの金を無駄にしているのかもしれません。

 ところが、厚労省の調査によると、意外なことに高学歴の患者ほど健康食品やサプリメントをより多く摂取しているというのです。特に高学歴の女性患者では、気功やヨガなども闘病に取り入れる人も多いようです。健康食品や気功など神秘的な力には、それだけ抗し難い魅力があるということなのでしょう。