余命3カ月の元米大統領救った悪性脳腫瘍の最新治療法とは

 そもそも脳腫瘍とは脳とそれを取り巻く組織にできる腫瘍の総称で、脳組織から発生する「原発性脳腫瘍」と、肺や乳房など他の臓器から脳に転移してきた「転移性脳腫瘍」の2つに分かれる。

 原発性には「良性」と「悪性」があり、「良性」は周囲の組織との境界が明瞭で増大スピードが遅く、手術での全摘が可能。反対に「悪性」は手術での完全摘出が難しく、多くの場合、手術後に放射線治療や抗がん剤治療が行われる。

 カーター氏は「転移性脳腫瘍」で、数年前に致死性の特に高いメラノーマ(悪性黒色腫)から派生した。以前なら余命3~4カ月と宣告される深刻なレベルだったらしい。東京新宿メディカルセンター放射線治療科の黒崎弘正部長が言う。

「転移性脳腫瘍の治療には放射線治療が特に有効で、以前から全脳照射が行われていましたが、3センチ以内の腫瘍なら定位放射線治療、いわゆるピンポイント照射が優先されるようになってきました。カーター氏の場合は、主要患部を定位放射線治療したのち、抗PD-1抗体による免疫療法を使ったのではないか」

2 / 3 ページ

関連記事