漢方達人をめざせ!

悩みは同じめまいだけど…

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 東洋医学では、体調不良の原因を「気」「血」「水」と関連付けて考えます。「気」「血」「水」は、人間の生命活動に必要な3つの栄養素のことです。

「気」は体のエネルギー源で、「血」は血液、「水」は体液。それぞれは相互関係にあり、「気」の流れが滞ったり不足したりすると、血液や水分の流れも悪くなり新陳代謝が落ちます。「血」の流れが滞ったり不足すれば、全身に栄養が運ばれず健康を維持できにくくなり、「水」の流れが滞ったり不足すると、体温調整や関節の働きが悪くなったりします。

 体質や不調の内容などさまざまな観点から判断するのですが、たとえば、寝ても疲れが取れず、体力がないなどは、「気」の流れに問題があると考えます。めまいや頭痛があり、顔色が悪くて唇や爪が白っぽければ「血」の流れに、のぼせやすく手足が火照ったり、肌や髪が乾燥していれば「水」の流れに問題があるとみるのです。

 ご夫婦ともにめまいが悩みのお2人が、漢方薬局にいらっしゃいました。私が出した漢方薬は、夫妻で別のものです。旦那さんはおしっこが出づらく、むくみがひどい。疲労感も残っているとのことだったので、「気」と「水」のバランスを整える「苓桂朮甘湯」を飲んでもらいました。

 一方、奥さんは物事を突き詰めて考える性格で、ひとつのことに執着する傾向がある。これは「血」の流れを良くした方がいいため、「黄連解毒湯」を。数週間後、「めまいはもちろん、体全体が元気になった感じです」とお2人から感想をいただきました。

久保田佳代

久保田佳代

父は乳児院院長、母は薬剤師、長女は歯科医、次女は眼科専門医という医療一家に産まれたが、昨今の臓器医療である西洋医学とは違い、人に向き合い、カラダとココロの両面から治療が行える漢方を志し20余年経つ。昭和薬科大学卒業、老舗漢方薬局を経て、「氣生薬局」開局。サプリメントアドバイザー、漢方茶マイスター、日本プロカウンセリング協会1級など多数資格取得。「不妊症改善における実力薬局100選」に選ばれている。