東洋医学では、体調不良の原因を「気」「血」「水」と関連付けて考えます。「気」「血」「水」は、人間の生命活動に必要な3つの栄養素のことです。
「気」は体のエネルギー源で、「血」は血液、「水」は体液。それぞれは相互関係にあり、「気」の流れが滞ったり不足したりすると、血液や水分の流れも悪くなり新陳代謝が落ちます。「血」の流れが滞ったり不足すれば、全身に栄養が運ばれず健康を維持できにくくなり、「水」の流れが滞ったり不足すると、体温調整や関節の働きが悪くなったりします。
体質や不調の内容などさまざまな観点から判断するのですが、たとえば、寝ても疲れが取れず、体力がないなどは、「気」の流れに問題があると考えます。めまいや頭痛があり、顔色が悪くて唇や爪が白っぽければ「血」の流れに、のぼせやすく手足が火照ったり、肌や髪が乾燥していれば「水」の流れに問題があるとみるのです。
ご夫婦ともにめまいが悩みのお2人が、漢方薬局にいらっしゃいました。私が出した漢方薬は、夫妻で別のものです。旦那さんはおしっこが出づらく、むくみがひどい。疲労感も残っているとのことだったので、「気」と「水」のバランスを整える「苓桂朮甘湯」を飲んでもらいました。
一方、奥さんは物事を突き詰めて考える性格で、ひとつのことに執着する傾向がある。これは「血」の流れを良くした方がいいため、「黄連解毒湯」を。数週間後、「めまいはもちろん、体全体が元気になった感じです」とお2人から感想をいただきました。
漢方達人をめざせ!