近い将来、風邪などの軽い病気はどこにいても簡単に医師に診察してもらえるようになるかもしれない。
「いつでもどこでも24時間、医師につながる」をウリにする新サービスが4月からスタートする。その名も「ポケットドクター」。スマートフォンやタブレットを用いた国内初の「遠隔診療アプリ」で、診療や医療相談を行う。医師が十二分に把握できなかった患者の症状を、モバイル端末のカメラやウエアラブル機能を使って把握することが可能だという。
医師がいない離島や過疎地遠隔地はもちろん、都心の急患にも対応できる。
■3つの新サービス
このシステムを運用するのは医師と医療機関をつないだり、医療情報を発信するMRT㈱。同社の馬場稔正社長が言う。
「新サービスは、『かかりつけ医診療』『予約相談』『今すぐ相談』の3つからなります。『かかりつけ医診療』は患者さんが初診を受けた医療機関に電話で再診される際、患者さん側からスマホで患部などの画像を送ることで、正確な診察に役立てようとするものです。利用は無料です」
「予約相談」は、「ポケットドクター」に登録している全国の専門医を相談者がウェブサイトで選び、時間も指定して健康相談ができるというもの。セカンドオピニオンとして活用することもできて、料金は5分間1500円だという。
「今すぐ相談」は、深夜の急な体調異変などの時、24時間年中無休で医師にスマホで相談できる。ただし、医師の指定はできない。料金は月額500円からだ。
「いずれのサービスもアプリからあらかじめ相談したい内容などを入力し、相談します。医師は医療機関以外の場所でも診療できるため、産休中や育休中の女性医師や高齢のベテラン医師が自宅で応対することも可能になります。医師不足対策にも貢献でき、医療過疎地域の人たちにも少しでもお役に立てるかと思っています」(馬場社長)
同社は2019年までに、国内の全医療機関の10%に当たる1万施設以上の医療機関に利用してもらうことを目指している。
「将来は、ウエアラブル端末や家庭用ヘルスケア機器、さらには医療機関の院内システムと連携できるようにしたいと考えています。そうすれば、血圧や体温などのバイタルデータ、医用画像などを診療に利用できるようになります」
しかし、今回の試みに懐疑的な声も少なくない。
「患者さんは医師のアドバイスがもらえることで安心感は得られるだろうが、料金は安いとはいえない。高齢者がモバイル機器を使った診療をどれほど理解できるのか。病院に行って治療を受けた方が有効と考える人もいるだろう」(医療関係者)
これは、果たして「医療革命」となるのだろうか。
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