Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【松方弘樹さんのケース】脳リンパ腫、化学療法が効きやすい

松方弘樹さん(C)日刊ゲンダイ

 一般に異常なリンパ球は血管の周りに集まり、脳の深くに染み込むように広がります。脳の深い部分にできやすいのはそのためで、血管を通じて複数の場所にできることもまれではありません。手術で腫瘍を取り切ることが難しく、放射線や抗がん剤を組み合わせて治療するケースがほとんどです。

 この病気の根本はリンパ腫で血液の病気。抗がん剤が効きやすく、治療は、抗がん剤をしてから全脳照射を行うのが一般的。実は、脳の広い範囲に放射線を照射すると、治ることもありますが、放射線の影響で脳が萎縮して認知症になりやすいのです。その影響を避けるため、全脳照射する放射線の量はなるべく少なくします。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。