薬に頼らないこころの健康法Q&A

第1志望の高校に落ちてしまった

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

 ただ、高校1年の段階では、受験技術よりも基礎学力をつけることを目指すべきです。数学なら先へ先へと進んで、高校数学の全体像を早めに把握することにしましょう。英語なら何よりも大量の英文を読み込んで、日本語に移さなくても文意が理解できるようにするといいでしょう。文法の細かいところなどは、あとから何とかなります。

 しかし、1年の段階では、学力をつけること以上に重大な課題があります。それは、「自分の未来を考える」ことです。おそらく2年生ごろに理系・文系の振り分けがあるでしょう。ここから先は、文系から理系へ、理系から文系への転向は難しくなります。そして、理系なら理系の学部を、文系なら文系の学部を選ぶことになります。その先に大学があり、さらにその先に就職があります。

 ということは、2年生の理系・文系の振り分けは本当の意味での人生の岐路となります。職業の選択がかなりの程度決まってしまうのです。

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井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。