医者も知らない医学の新常識

「失神」と「運転リスク」

運転中の失神は深刻な事故を招く(C)日刊ゲンダイ

 失神というのは、急に意識を失うことです。仮にそれが車の運転中に起これば、深刻な事故を招く可能性があることは、先日の大阪の交通事故を見ても明らかです。その一方で、「生涯に1度でも失神する確率は35%に達し、1回失神を起こした人の3分の1は、3年以内に再び失神を起こしている」という海外統計も存在しています。

 では、1度失神を起こした時には、その後の車の運転はどうするべきでしょうか?

 これだけ失神という症状が多いと、「すべての失神を起こした人にその後の運転を禁止する」というのは、現実的ではない気がします。それでは、そもそも1度失神を起こした人は、その後、どのくらい自動車事故を起こす危険が増えるのでしょうか?

 今年発表されたデンマークの大規模な調査の結果によると、初回の失神を起こした人は、その後5年間に交通事故を起こす危険が、失神を起こしていない人の1・83倍増加していました。この比率は、それほど高いものではないのですが、それでもやや増えることは間違いありません。

 1回きりの失神で、すぐに元に戻っても、必ず病院を受診して原因を精査することが必要です。その上で、心配のないものであっても、その後数年間の車の運転は本当に必要な場合にとどめ、慎重に行うのが良いと思います。

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。