がん治療を変える 日本発新免疫療法

痛みが消え車椅子ともオサラバできる 新たな免疫療法が登場

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そんなAさんがオプジーボと出合ったのは「東京新宿メディカルセンター」(元「厚生年金病院」=東京・新宿)で放射線治療を受けた昨年春。黒崎弘正放射線治療科部長から、「新たな免疫療法『オプジーボ』を使用する治療法もありますよ」と聞かされた。初めて耳にする薬だったが、Aさんは医療者としての直感で「効果があるかもしれない」と感じたという。すぐにインターネットなどで調べ、歯学部生である息子にも相談して治療を決断した。

「別の知人にオプジーボで治療している千葉県下のクリニックを紹介してもらいました。正直、期待せずにやるだけやってみようと考えたのです。ところが私のがん治療にはこれが“ヒット”しました。肺がんの腫瘍マーカーが下がり始めたのです」(Aさん)

 まったく新しい作用機序である免疫療法ということで副作用も気にはなった。しかし、「人の体内では毎日数千個ものがん細胞が出来ていて、正常な免疫細胞はこれを排除してがん発症を防いでいる」という「がん免疫監視」システムを正常に戻すだけの薬なら、副作用はあっても大きくはない、と信じたという。

 厚労省は1月末、「オプジーボ」の使用に当たっては、特に1型糖尿病を発病させる副作用に注意するよう日本医師会や関連学会に通知した。しかしAさんは「命を失うよりましでしょう」と言う。

2 / 2 ページ