独白 愉快な“病人”たち

女優・大空眞弓さん(75) 乳がん・多臓器がん

大空真弓さん(C)日刊ゲンダイ

 乳房を失うことに対して、落胆はしませんでした。私は何事も「なんで?」って思うことがないの。がんになると、なぜ病気になったのか、なぜ自分なのか、なんて考える方もいらっしゃるようですが、「そうなんだ」って受け入れる。考えても答えはありません。私のような考え方の方がむしろ珍しいでしょうね。

 乳房切除後はすぐに腕がスッと上がり、舞台稽古もいつも通り。特に病後だからと気にすることも一切ありません。乳房を切除したことも言わずに現場に戻りました。

 子供の頃は入退院を繰り返し、学校の体育の授業もまともに受けられないくらい病弱でした。そのおかげで、病院も注射も大好き。病院では医師の指示に従ういい患者ですよ。私の腕は血管が見えにくくて、点滴針を入れるのが難しいんです。けれど、「はいどうぞ」って差し出せば、最初は失敗しても、みなさん次第にうまくなりますよ。先生方だって人間ですから。信頼していれば、お医者さんも診やすいし、助けようと思って下さいます。

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