■「首」は危ない
もちろん、簡単な研修を受けただけで人体の構造や仕組みを勉強していないような施術者に、自分の身を任せるのはやめた方がいい。
「とりわけ、瞬間的に大きな力を加える動作をするような施術は避けてください」(阿部氏)
マッサージの中でも、とくに注意したいのが「首」だ。
「東京脳神経センター」(東京・港区)理事長の松井孝嘉氏は言う。
「首には、呼吸、消化、脈拍、体温調節など、体全体の調子を整える働きをしている自律神経が通っています。首の筋肉は、脚、腕、腹などの大きな筋肉と違ってデリケートなので、むやみにマッサージをしたり、圧力をかけると筋肉を損傷してしまいます。首の筋肉に異常が起こると、自律神経の副交感神経がうまく働かなくなり、めまい、不眠、食欲不振、血圧上昇、動悸、倦怠感といった不定愁訴が表れます。さまざまな診療科の領域にわたる症状なので、病院をはしごしても治せません」