その際、重要になるのは1回目の手術です。1回目の手術が問題なくオーソドックスに処置されていれば、2回目の手術も問題なく対応できる可能性が高くなります。
1回目の手術の際、悪いところに的確にメスを入れ、しっかり処置をして心臓の機能を取り戻せているかどうか。自覚症状を取り除いたり、突然死を起こさないように問題点が解決されているかどうか。2回目の手術がスムーズにいくかどうかは、こうした点に左右されます。
私が勤務している順天堂大学病院では、2回目、3回目の手術が必要になってやってくる患者さんも少なくありません。そうした患者さんの状態を診てみると、「1回目の手術でこういう処置をしたから、今になってこんな状態になったんだな」と関連付けられるケースがたくさんあります。それだけ、1回目の手術は大切なのです。1回目の手術で、心臓の機能を損なってしまうような処置が行われていたり、臓器の状態が解剖学的にまったく異なるような形で処置されていたりすると、2回目の手術でそれを修復するにはハードルが上がってしまうのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」