がん治療を変える 日本発新免疫療法

「末期がん患者の5割に治療効果を感じた」

千葉ポートメディカルクリニックの今村院長
千葉ポートメディカルクリニックの今村院長(C)日刊ゲンダイ

「がん」が増幅すると、体内にある免疫がアクセルを踏み込んで攻撃を開始する。こうした免疫応答をいかに効率よく誘導しながら、増強できるのか。

 長年、世界中の医療機関ががん免疫療法の研究を続けてきた。ここ数年、このようながん免疫療法が注目を浴びている理由は、「免疫チェックポイント阻害剤」という画期的な薬が登場したからだ。

 そのひとつが「小野薬品」が研究、開発した「オプジーボ」(一般名、ニボルマブ)で、これを日本国内のがん患者にいち早く使用しているのが「千葉ポートメディカルクリニック」(千葉県千葉市)だ。

 内科、皮膚科、アレルギー科、腫瘍内科を専門にする同病院は、海外ではすでに標準治療薬として組み込まれていながら、日本未承認の抗がん剤などを患者の個人輸入という形で投与している。今村貴樹院長(写真)が言う。

「多くの海外資料などを読みこみ、がん患者の治療にオプジーボを使用し始めたのは1年ほど前からです。これまで免疫療法といえばどこか怪しげなところがありましたが、オプジーボの治療効果を見て、『いよいよ本物の免疫療法が出たな』と感じました」

 先月初旬までに、65人のがん患者にオプジーボを使用してきた。「これは恐らく国内最多の治療件数」(今村院長)だという。

 使用したがん種の内訳は、「肺がん12人」(うち非小細胞肺がん9人、小細胞肺がん3人)、「胃がん5人」「頭頚部がん5人」「乳がん5人」「膵臓がん4人」「子宮がん4人」「大腸がん4人」「胆がん4人」「肝臓がん3人」「腎臓がん3人」「悪性リンパ腫3人」「尿路上皮がん2人」等で、ほとんどすべての固形がん、肉腫、血液がんに投与してきたという。

 むろん、これらは患者自らの責任で薬を個人輸入して使ったもの。がん種によっては国内外で効果や安全性を確かめる治験段階のものもある。

 ちなみに、日本の病院でオプジーボの投与が正式に認められているのは、根治切除不能な「メラノーマ」(悪性黒色腫)と切除不能の「非小細胞肺がん」の2つに過ぎない。

 それでも、北海道から九州まで噂を聞いたがん患者たちから、毎月、数人の治療予約が入るのだという。

 気になる治療効果について今村院長は、「65人のがん患者のうち、がん細胞が完全に消滅したのが1割。総合的に判断して、約5割の方に治療効果があったと考えています」

 では、副作用はどうだったのか。