医師もほとんど知らない「がん最先端放射線治療」の実力

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そこで研究で行きついたのが増感剤を用いての放射線治療だ。抗がん剤を増感剤として使う。

「通常量の5~6分の1の抗がん剤を飲み薬や点滴で用います。注意していただきたいのは、抗がん剤と放射線の併用治療とは異なる点です。併用治療では、抗がん剤、放射線のどちらの効果も期待しますが、副作用も大きい。一方、抗がん剤を増感剤として用いる場合、放射線治療の効果を高めることが目的で、抗がん剤の副作用が生じないレベルまで量を調整します」

 最初は「抗がん剤がいやだから放射線を選んだのに……」と渋る患者も、実際に受けると、抗がん剤の副作用がないことに驚くという。

【乳がんのコータック治療】

 これも増感剤の一種で、特に乳がんに対して行われている。放射線の間接作用を無効にする抗酸化酵素に対し、それを分解する過酸化水素と、過酸化水素をとどまらせるヒアルロン酸を患部に注射する。兵庫県立加古川医療センターの小川恭弘院長が高知大教授時代に発案し、高知大だけで200例以上、全国では500例以上が実施されている。

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