医療数字のカラクリ

人体実験の実施にはいくつもの“科学的なプロセス”がある

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「人体実験」という言葉には、何かしら「忌まわしい」イメージが付きまといます。その忌まわしさを一般化すると、「実験台にされる人間はどうなるのか」と言えば分かりやすいでしょう。そこを担保するものが倫理性と科学性です。今回はそこにもう少し踏み込んで考えてみることにします。

 人体実験の前提は少し複雑です。すでに害を上回る効果があると認められたものについて人体実験を行うことはありません。それは実験としてではなく、医療として提供されるべきものです。また、効果がないことが分かっていたり、大きな害があると分かったものについても、人体実験を行うことは許されません。

■微妙な位置

 人体実験の対象となる物質は、「効果があるかどうかはっきりしない」「ひょっとしたら害があるかもしれない」という微妙な位置にあるものです。

 その微妙な位置にたどり着くために必要なのが「人体」以外による「科学的」な実験です。具体的には、試験管内での実験や、動物実験です。そこで「どうも効果がありそう」という結果が得られたり、「大きな害はなさそうだ」とされた物質が、人体実験のための薬の候補として採用されるのです。

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名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。