「最近、熟睡できません。胃腸も荒れて、食欲も落ちました」
知人男性と雑談をしている途中、話の流れから、こう打ち明けられました。10日ほど前からだそうで、これから先も不調が続くようなら、私に相談しようと考えていたと言います。
睡眠障害や胃腸障害は、場合によっては深刻な状態につながる可能性もあります。しかしいくつか質問をすると、彼は「風邪気味なのが原因だと考えている。風邪がよくなれば、不調も消えるのではないか」と答えるのです。
「風邪」という言葉から、もしかして……と思ったことがありました。
「葛根湯を飲んでいませんか?」
「飲んでいますよ。風邪には葛根湯ですからね。でも、毎日飲んでいるんですが、風邪がよくならない。軽い漢方だからでしょうか」
知人の睡眠障害、胃腸障害の原因は、葛根湯でした。
葛根湯には、生薬の「麻黄」が入っています。麻黄に含まれるエフェドリンという成分は覚醒作用があり、継続して葛根湯を飲むと、眠れなくなったり、胃が荒れたりすることがあるのです。葛根湯を「(効果の)軽い漢方」と考えている人は結構いらっしゃるのですが、それは間違いです。正しく使わなければ、体に害が生じることがあります。
そもそも葛根湯は、体がゾクゾクッとした風邪の「ひきはじめ」に飲んでこそ効果があります。飲むタイミングは非常に重要。私はいつも自宅に常備しており、風邪をひいたと思ったらすぐに葛根湯を飲み、しょうが入りの豚汁などを食べ、厚着で寝て、汗をたくさんかきます。すると、一晩で風邪が治っています。
漢方達人をめざせ!