漢方達人をめざせ!

睡眠障害と胃腸障害の意外な原因

風邪薬は色々だけど…
風邪薬は色々だけど…(C)日刊ゲンダイ

「最近、熟睡できません。胃腸も荒れて、食欲も落ちました」

 知人男性と雑談をしている途中、話の流れから、こう打ち明けられました。10日ほど前からだそうで、これから先も不調が続くようなら、私に相談しようと考えていたと言います。

 睡眠障害や胃腸障害は、場合によっては深刻な状態につながる可能性もあります。しかしいくつか質問をすると、彼は「風邪気味なのが原因だと考えている。風邪がよくなれば、不調も消えるのではないか」と答えるのです。

「風邪」という言葉から、もしかして……と思ったことがありました。

「葛根湯を飲んでいませんか?」

「飲んでいますよ。風邪には葛根湯ですからね。でも、毎日飲んでいるんですが、風邪がよくならない。軽い漢方だからでしょうか」

 知人の睡眠障害、胃腸障害の原因は、葛根湯でした。

 葛根湯には、生薬の「麻黄」が入っています。麻黄に含まれるエフェドリンという成分は覚醒作用があり、継続して葛根湯を飲むと、眠れなくなったり、胃が荒れたりすることがあるのです。葛根湯を「(効果の)軽い漢方」と考えている人は結構いらっしゃるのですが、それは間違いです。正しく使わなければ、体に害が生じることがあります。

 そもそも葛根湯は、体がゾクゾクッとした風邪の「ひきはじめ」に飲んでこそ効果があります。飲むタイミングは非常に重要。私はいつも自宅に常備しており、風邪をひいたと思ったらすぐに葛根湯を飲み、しょうが入りの豚汁などを食べ、厚着で寝て、汗をたくさんかきます。すると、一晩で風邪が治っています。

久保田佳代

久保田佳代

父は乳児院院長、母は薬剤師、長女は歯科医、次女は眼科専門医という医療一家に産まれたが、昨今の臓器医療である西洋医学とは違い、人に向き合い、カラダとココロの両面から治療が行える漢方を志し20余年経つ。昭和薬科大学卒業、老舗漢方薬局を経て、「氣生薬局」開局。サプリメントアドバイザー、漢方茶マイスター、日本プロカウンセリング協会1級など多数資格取得。「不妊症改善における実力薬局100選」に選ばれている。