天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

医療安全対策は患者の命に直結する

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 昨年10月からスタートした「医療事故調査制度」によって、すべての病院は患者が死亡するような医療事故が起こったとき、第三者機関の医療事故調査・支援センターへ報告しなければならなくなりました。同制度が開始されて5カ月間が経ちましたが、累計140件の医療事故がセンターに報告されています。

 大学病院などで相次いで発覚した医療事故や、こうした制度がスタートしたこともあり、近年は多くの病院で医療事故防止や医療安全対策にかなりの時間と労力を割くようになってきています。とりわけ、先進医療を含む高度な医療を提供する「特定機能病院」は、厚労省から直接指導を受け、医療従事者の組織的な医療安全教育を義務付けられています。

 ただ、病院によっては、医療安全対策の方法や力の入れ具合にまだ差があるといっていいでしょう。医療安全教育が行き届いていなかったり、患者さん側から見ても明らかな医療ミスだと思われるような状況が起こるケースもあり得るのが現状です。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。