がん治療を変える 日本発新免疫療法

米国では「経済毒性」が話題に

■2つのがん種では個人負担額は欧米より割安に

 日本ではどうか? 公的医療保険が充実している日本では、手術不能な悪性黒色腫のほかに切除不能な進行・再発非小細胞肺がんが適応拡大となった。そのため、この2つのがん種については適応さえあれば、個人の負担額は欧米よりも低く抑えられる。

「薬代はメラノーマ(体重60キロ)の場合、1回88万円強で、患者さんの自己負担額はその一部ということになります。むろん、新薬である免疫チェックポイント阻害剤の費用を公的保険で賄う以上、安全のため入院して投与するのが望ましい。ところが、DPC(包括医療費支払制度)病院では、入院下で免疫チェックポイント阻害剤を使うと薬代の半分が病院の負担になるとの指摘があり、一時、騒ぎになりました」(医療ジャーナリスト)

 つまり、全国の2割強を占めるDPC病院では「免疫チェックポイント阻害剤を使えば使うほど赤字になるので、治療を受けられないのではないか」との不安の声が上がったのだ。しかし、いまは免疫チェックポイント阻害剤をDPCの対象から外して「出来高制」にすることで、不安は解消している。

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