原因の多くは心理的ストレス…腰痛は“気”で治す病だった

原因の多くに心理的ストレスの影(C)日刊ゲンダイ

 老若男女、多くの人を苦しめている腰痛。そのうちの85%は痛みの原因が分からず、診断がつけられない。どこで診てもらっても、何をしても消えない痛みには、「心」が関係している可能性があることが、近年の研究で分かってきた。

「腰の痛みが3カ月以上続くものを慢性腰痛といいますが、原因がよく分からなくて痛みが長引くかなりのケースで、心理的なストレスが関係していると考えられます」

 こう言うのは、腰痛のスペシャリストである福島県立医科大学医学部整形外科学講座の大谷晃司教授だ。大谷教授のもとには、原因不明の腰痛で悩む患者が、全国から1年間に延べ1万人も足を運んでいる。大谷教授によると、心理的なストレスが腰の痛みを引き起こすケースは2つある。

「1つはストレスによって、痛みをコントロールする脳のメカニズムがうまく働かなくなっている場合です。実際よりも痛く感じたり、痛みのもとは消えているのにまだ痛いと神経回路が錯覚したりします。もう1つは、ストレスが体の痛みとして出る場合。仮病ではなく、本人は本当に腰が痛いと感じています。この状態を専門用語で『身体表現性障害』といいます」

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