医療数字のカラクリ

「臨床試験」とはすなわち「人体実験」である

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「人体実験」を行うこと自体が倫理的でない可能性がある。これは、実験台になる人に危険が及ぶことを考えれば理解しやすいことでしょう。しかし、逆に「人体実験を行うことこそが倫理的である」という面もあります。

 少し分かりにくい話題ですが、重要なことなので、何とか分かっていただけるように解説したいと思います。

 繰り返しになりますが、人間に使われる治療は、人間でしか効果や危険性を検討できません。人体実験を行わずに試験管や動物実験で効果が検討されたに過ぎない治療を、いきなり人間で使用することこそ非倫理的です。犬で効果があった治療だからといって、人間で同じように効果があるかどうか分かりません。

 サルで大きな害がなかったからといって、人間で害がないとは限りません。当たり前のことです。だから、人体実験を行うことこそが倫理的に必要です。新しい治療法を倫理的な手続きで採用するためには、人体実験で害を上回る効果があるかどうか、人間を対象に検討することが不可欠なのです。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。