どうなる! 日本の医療

49歳以下の外科医不足から医療崩壊が始まる!?

(C)日刊ゲンダイ

「それでも増えているならいいじゃないか」と思われがちだが、中心となるべき30~49歳の外科医数は減り続けており、とくに29歳以下の外科医数は極端に低い。94年の18%から06年に5%、最近はその半分以下にまで減っている。

「減少理由のひとつは04年にスタートした新臨床研修制度導入で、新人医師は従来の医局に縛られることなく自分の好きな科目で好きな医療機関を選択できるようになったこと。その結果、新任医師は最新医療機器を備え、最新論文がふんだんに読める都会の大病院に集中した。その中でも3K、つまり、きつい、汚い、厳しいとされる外科医を避ける新人医師が増えたのです」

「きつい」とは、手術などのために70~80時間勤務は当たり前といわれるほど医師の中で最も労働時間が長いこと。「汚い」は開腹手術などで、常に血と汗まみれになること。「厳しい」は訴訟リスクが最も高いこと。日本外科学会資料では、05年度の医療関係訴訟1032件中トップは産婦人科だが、2位の外科と3位の整形外科を合わせるとダントツで多い。

2 / 3 ページ

村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。