そんな状態の中で横綱の地位を勝ち取ったのですが、それからがさらに厳しかった。プレッシャーが大きかったこともあり、体調不良はますます顕著になりました。朝はだるく、昼は眠い。
稽古では呼吸がすぐ上がってしまうし、成績は振るわない。体を休ませたくても横綱という立場上、簡単には休めない。「それでも前へ進むしかないんだ」と自分を追い詰める日々が続きました。
■心臓に負担かかりポックリいく可能性も
夜は眠れず、夜中にトイレに起きることが多くなったため、まず疑ったのは糖尿病でした。でも、血液検査は異常なし。原因がわからなかったことで一層、周囲から「太り過ぎ」「稽古不足」とみられるようになりました。「相撲で勝てなきゃ夜も眠れないだろう」――そんなふうに言われたこともあります。
思えば、15歳の入門時は83キロだった体重が、7年後の大関時代には180キロ、横綱では200キロ以上に増えましたからね。首回りに肉が付き過ぎて、寝ている時には気道を狭くする大きな要因になったわけです。
独白 愉快な“病人”たち