独白 愉快な“病人”たち

元横綱・芝田山康さん(53) 睡眠時無呼吸症候群

芝田山康さん(C)日刊ゲンダイ

 膝を故障して休場した89年の7月場所、師匠の紹介で日大板橋病院で改めて検査を受けたんです。すると、血中の酸素濃度が極端に低いという結果が出ました。医師からは「これでよく相撲を取っていましたね」と言われ、聞けば、心臓に負担がかかっていてポックリいく可能性もあるとのことでした。

 睡眠時に10秒以上の呼吸停止が何度もあるということは、体にも脳にも酸素が十分に行き届かないということ。脳は酸素がないと眠れないんだそうです。脳は起きているのに体は寝ている状態で起こりやすいのが金縛り。おかげで何回も遭いました(笑い)。

 治療には「CPAP(シーパップ)」という機器を使いました。鼻に付ける酸素マスクのようなもので、鼻から空気を送り込むことで気道に圧をかけ、呼吸を確保するんです。これを使ったのも日本では先駆けだったと思いますし、角界では私が間違いなくCPAPの第一人者です。今でもずっと使っていますよ。うちの部屋の弟子も4~5人は使っています。

3 / 5 ページ